メコンオオナマズとは?

 メコンオオナマズ Pangasianodon gigas は東南アジアのメコン川水系にのみ生息し、分類学上はパンガシウス科のパンガシアノドン属に属します。他のナマズとの違いは、(1)上あごと下あごのひげが成魚では無い(あっても短い)(2)前と後の鼻の穴が接近している(3)腹びれの鰭条(ひれのすじ)が8〜9本である(4)鰓耙(えらの近くで餌をとらえる器官)が発達していないことなどです。
ギネスブックでは全長3メートル、体重300キロにもなる世界最大の淡水魚とされています。しかし、どこで生まれて何を食べ、どこで大きくなるかなどわかっていないことが多く、その生態は謎に包まれています。一方、近年の流域開発や乱獲等によりその数が激減し、タイ国では2004年はわずか2尾、それ以前の3年間は全く捕獲されていません。国際自然保護連合(IUCN)や、ワシントン条約(CITES)などにより保護され、その輸出・輸入は原則禁止されてはいるものの、このままでは野生のメコンオオナマズは、その生態が解明される前に絶滅してしまう恐れがでてきています。タイ国では漁獲制限や人工繁殖による放流を行っていますが、メコン川が6カ国にまたがって流れ、さらにはメコンオオナマズがメコン川を回遊するためにタイ国だけで保全しても上手くいっていないのが現状です。