2007年度日本魚類学会年会発表要旨(1)

水槽飼育下で観察されたメコンオオナマズ Pangasianodon gigas  の摂餌周期

Feeding cycle of the Mekong giant catfish, Pangasianodon gigas, in the Aquarium

池谷幸樹、波多野順、谷村俊介、堀由紀子
(岐阜県世界淡水魚園水族館アクア・トトぎふ)

メコンオオナマズ Pangasianodon gigas  はメコン川水系にのみ生息し、大きいものは全長3m、体重300kgに達する世界最大のナマズである。近年の流域開発や乱獲等によりその数が激減していることからタイ国では人工繁殖を試み、1983年にF1を、2001年にはF2を得ることに成功している。しかしその一方で野生での生態はほとんど解明されておらず、飼育下での知見も少ないのが現状である。

 本研究では、タイ国のアユタヤ内水面水産試験場から搬入した人工繁殖個体6個体を使用し、2004年6月18日より、2007年6月18日までの3年間にわたり個体ごとの摂餌状況を調べた。日長時間や水温の変化による摂餌への影響を考慮し、照明点灯時間は12時間、水温は約28℃(平均28.7℃)を維持した。餌にはコイ用配合飼料を練り餌にして与え、毎日給餌した。その結果、全個体で摂餌する期間としない期間を繰り返すことを観察した。摂餌しない期間は長期にわたり、最長の個体では121日間続いた。これまでのところ、この摂餌周期と水質との相関は認められていない。メコンオオナマズがメコン川で主食としていると考えられているシオグサ類(大型糸状緑藻類)がメコン川で生育するのは11月から4月までの乾季であり、雨季には生えないことから、自然界ではメコンオオナマズは長期絶食している可能性があることが本研究から示唆された。